レベルデザインワークショップ|シングルプレイヤー vs マルチプレイヤーのレベルデザイン:パラダイムシフト

GDC2017の"Level Design Workshop: Singleplayer vs.Multiplayer Level Design : A pradigm shift"の講演の要約及び英語表現をピックアップした記事になります。

▼講演動画(約30分)

youtu.be

 

 

Introduction

本講演では、Certain AffinityのElisabeth Beinke-Schwartz氏が、シングルプレイヤーのナラティブレベルをデザインしていた自身の経験と、マルチプレイヤーレベルのデザインへの移行の経験から、シングルプレイヤーレベルとマルチプレイヤーレベルのデザインにおいて、「何に時間を割くべきか、何に時間を無駄にすべきでないか」について学んだ教訓を紹介。

draw from ~ : ~から引き出す、~から得る

 

Body

まずはそれぞれのレベルをデザインする過程において注意を払うべきことを紹介。

 

レベルの大きさ

SPの場合

  • 戦闘の数や長さ
  • ナラティブ
  • サイドクエストなどのコンテンツ

→レベルの大きさを考えるうえでは、ナラティブやサイドクエストなどの戦闘以外のコンテンツも意識する必要がある

 

MPの場合

  • プレイヤーの人数やチームの数
  • 接敵するまでの時間

→レベルの大きさはSPと違いナラティブではなく、プレイヤー/チームの数や接敵時間をもとに決められる

 

レベルの構成

SPの場合

→SPのレベル構成については、前述したようにナラティブが絡んでくるため、ストーリーを伝えるような環境の構築やプレイヤーを導くオブジェクトの配置が必要になる。

 

"Weenies"について

SPのレベルデザインにおいてはナラティブに加えて、”Weenies"を使うことがあると講演者は述べている。このWeeniesは、ウォルト・ディズニーによって編み出された言葉で、「人々を空間に引き込むための視覚的要素」のことを示す。具体的には、遠くからでもよく見える大きさで、思わず見に行きたくなるようなもののことである。日本語でいえば、ランドマークやシンボルがそれに該当するだろうか。最近のゲームでいえばElden RingのErdtreeはまさにWeeniesだったと思われる。

 

MPの場合

  • プレイヤーの導線や選択肢
  • 視線や裏技を制限する

→MPのレベルデザインにおいては、プレイヤーがなぜ死んだのかを明らかにするためにまず視線に注意を払う必要がある。死んだ理由がわからないとプレイヤーにストレスがかかるため、できる限り視線を制限したり工夫するべき。また、公平性を保つために裏技的なテクニックが生まれないように努力するべきだ。

 

プレイテストで重視すべきこと

SPの場合

  • プレイヤーのモチベーションを知ること
  • プレイヤーがどこにいるかわかること

→SPにおいては、プレイヤーが何をするべきかわかっていて、かつ迷子にならないようなレベルデザインになっているか確認する必要がある。

 

MPの場合

  • レベルの第一印象が悪くてもそこまで問題ではない、何度もテストを繰り返してより良いレベルを構築するべき

Conclusion

SPとMPのレベルデザインにおいては、重視するべき点が異なる。SPの場合は、ナラティブやゲームプレイに関わる要素を考えて構築し、プレイテストの過程ではプレイヤーの目線になってそのレベル全体を磨いていく必要がある。一方のMPのレベルデザインにおいては、ナラティブの重要性は低いので、プレイヤーの数等をもとにレベルのサイズを決めたら、プレイテストを繰り返しながら戦闘時の視線やルートを考慮して行く必要がある。